「エアコンや空調設備の設置には、管工事業の建設業許可が必要?」
「資格がなくても、給排水工事や空調工事の経験で許可を取得できる?」
「2級管工事施工管理技士でも営業所技術者になれる?」
管工事業の建設業許可を検討されている方から、このようなご相談をいただくことがあります。
建築一式工事以外では、1件の請負代金が500万円未満(税込)の工事が「軽微な建設工事」とされているため、税込500万円以上の管工事を請け負う場合には、原則として管工事業の建設業許可が必要です。
建設業許可の500万円基準・軽微な工事について詳しくはこちら
本記事では、管工事の定義や具体例、水道施設工事・機械器具設置工事などとの違い、一般建設業・特定建設業における営業所技術者等の資格・実務経験について詳しく解説します。
福岡県で建設業許可申請を取り扱う行政書士 本田奈美が、2026年10月時点の制度をもとに解説します。
建設業許可全体の要件・費用・申請方法については、
福岡の建設業許可総合ページ
もあわせてご参照ください。
目次
建設業法上の管工事とは、冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置したり、金属製等の管を使用して水・油・ガス・水蒸気等を送配するための設備を設置したりする工事をいいます。
代表的な工事には、次のようなものがあります。
管工事は、水道施設工事や機械器具設置工事など、他の建設業種との区分に迷いやすい工事です。
建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は、管工事に該当します。
一方、トンネルや地下道などの給排気用に設置される機械器具に関する工事は、機械器具設置工事に該当します。
家屋その他の施設の敷地内で行う給排水配管工事や、水道管等の配水小管を設置する工事は「管工事」に該当します。
一方、上水道等の取水・浄水・配水等の施設や、下水処理場内の処理設備を築造・設置する工事は「水道施設工事」に該当します。
また、公道下等の下水道の配管工事は「土木一式工事」に該当します。
規模の大小を問わず、浄化槽(合併処理浄化槽を含む)によってし尿を処理する施設の建設工事は、管工事に該当します。
ただし、浄化槽工事を実際に施工する場合には、建設業許可とは別に浄化槽法上の登録や届出等が必要となる場合があるため注意が必要です。
管工事業の一般建設業許可を取得するには、営業所に管工事業の要件を満たす「営業所技術者」を配置する必要があります。
管工事業の営業所技術者になる主な方法は次のとおりです。
※以前「営業所の専任技術者」と呼ばれていた者は、令和6年12月13日の建設業法改正により、一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」とされ、両者をまとめて「営業所技術者等」といいます。
営業所技術者等の制度全体については、 営業所技術者等の資格・実務経験についての記事 もあわせてご参照ください。
管工事業の一般建設業許可で営業所技術者となることができる代表的な資格等には、次のようなものがあります。
技能検定や技術士については、取得時期・試験区分・選択科目によって取扱いが異なる場合があります。
また、過去の資格名称・技能検定職種で取得されている場合も対象となることがありますので、申請前に資格証や合格証明書等を確認して判断することが重要です。
管工事業の指定学科は、次の学科です。
指定学科を卒業している場合は、学歴に応じて必要となる管工事の実務経験年数を短縮できます。
申請時には、卒業証明書等による指定学科の確認と、管工事に従事していたことを確認できる資料が必要になります。
管工事業に対応する資格や指定学科の学歴がない場合でも、管工事について10年以上の実務経験があれば、一般建設業の営業所技術者の要件を満たすことができます。
ただし、「建設業に10年以上携わっている」というだけでは足りません。
必要な期間について、給排水設備工事、空調設備工事、ダクト工事など、管工事に該当する工事に従事していたことを証明する必要があります。
令和5年7月1日から、一定の施工管理技術検定の第一次検定合格者について、指定学科卒業者と同様に取り扱い、3年または5年以上の実務経験と組み合わせて営業所技術者の要件を満たせる制度が設けられています。
しかし、管工事業は「指定建設業」に該当するため、この緩和制度の対象外です。
そのため、「1級管工事施工管理技術検定の第一次検定に合格+3年以上の実務経験」や「2級の第一次検定に合格+5年以上の実務経験」といった方法だけで、管工事業の営業所技術者になることはできません。
管工事施工管理技士の資格によって営業所技術者の要件を満たす場合は、第二次検定まで合格していることが必要です。
資格を使用せず、10年以上の実務経験によって営業所技術者の要件を満たす場合は、実務経験年数だけでなく、その期間に実際に管工事を行っていたことを確認できる資料が重要です。
過去の契約書、注文書、請求書などを確認し、工事内容や期間から管工事の実務経験を証明していきます。
例えば、「設備工事一式」「改修工事一式」などの記載だけでは、管工事に該当する工事を行っていたことが分かりにくい場合があります。
その場合は、見積書や工事明細など、給排水設備工事・空調設備工事・ダクト工事等の具体的な施工内容が確認できる資料も含めて、実務経験として証明できるか検討します。
また、一つの勤務先や一つの事業期間だけでは10年以上に達していない場合でも、前職での経験と独立後の経験など、複数の実務経験期間を合算して要件を満たせる場合があります。
「昔の請求書で管工事の実務経験を証明できる?」
「個人事業主としての期間だけでは10年に少し足りない」
「前の会社での管工事経験も合わせて申請できる?」
このような段階でもご相談いただけます。
これまでのご経歴やお持ちの資料を確認しながら、申請できる方法を検討します。
当事務所では、福岡県内の事業者様から管工事業の建設業許可申請をご依頼いただき、これまでに複数の許可取得をサポートしています。
同じ管工事業でも、営業所技術者の要件を「資格」で満たすケース、「指定学科+実務経験」で満たすケース、「10年以上の実務経験」で満たすケースなど、これまでの経歴によって申請方法は異なります。
福岡市の株式会社空永様より、管工事業の建設業許可新規申請をご依頼いただき、無事に許可を取得されました。
営業所技術者については、2級管工事施工管理技士の資格によって要件を満たして申請しています。
また、代表者様だけでは経営業務の管理責任者等の経営経験が不足していたため、建設業の経営経験を有する方に取締役として就任いただき、要件を整えたうえで申請した事例です。
福岡県大野城市のファシリティワキ株式会社様より、管工事業の建設業許可新規申請をご依頼いただき、無事に許可を取得されました。
営業所技術者については、従業員の方がお持ちの2級管工事施工管理技士の資格によって要件を満たして申請しました。
また、経営業務の管理責任者等については、個人事業主としての経営経験と法人役員としての経営経験を合算し、5年以上の経営経験を証明しています。
ファシリティワキ株式会社様の管工事業の建設業許可取得事例はこちら
福岡県古賀市の株式会社CLPD様より、管工事業の建設業許可新規申請をご依頼いただき、無事に許可を取得されました。
当初は代表者様の10年以上の実務経験での申請を検討しましたが、必要な期間の証明が難しかったため、別の方法を検討しました。
その結果、取締役の方が管工事業の指定学科を卒業されており、必要な実務経験も有していたため、「指定学科+実務経験」によって営業所技術者の要件を満たして申請しました。
株式会社CLPD様での実務経験だけでは必要年数に達していなかったため、個人事業主として従事されていた期間の管工事経験も合算して証明しています。
福岡県北九州市の中西電気様より、管工事業の建設業許可新規申請をご依頼いただき、無事に許可を取得されました。
営業所技術者については資格を使用せず、10年以上の管工事の実務経験によって要件を満たして申請しました。
過去の請求書を確認しながら、管工事に該当する工事について必要な期間の実務経験を証明しています。
福岡県小郡市のエムテクノ様より、管工事業の建設業許可新規申請をご依頼いただき、無事に許可を取得されました。
個人事業主としての実務経験だけでは10年以上に達していなかったため、以前勤務していた会社での管工事の実務経験と、独立後の個人事業主としての実務経験を合算して要件を満たしました。
前職については、当時の勤務先が福岡県へ提出していた決算変更届の表紙や工事経歴書、独立後については過去の請求書控えなどを使用して実務経験を証明しています。
このように、同じ管工事業でも、資格の有無、学歴、過去の勤務先、個人事業主としての経験などによって、営業所技術者の要件を満たす方法はさまざまです。
「資格がないから難しいかも」「一つの会社では必要な実務経験年数に足りない」といった場合でも、これまでの経歴を整理することで申請できるケースがあります。
管工事業は、土木工事業・建築工事業・電気工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業とともに、「指定建設業」7業種の一つです。
そのため、特定建設業の管工事業では、一般建設業よりも厳しい技術者資格要件が定められています。
管工事業の特定営業所技術者となることができる代表的な資格は、次のとおりです。
管工事業は指定建設業であるため、2級管工事施工管理技士や10年以上の実務経験だけで特定営業所技術者になることはできません。
また、一般建設業で営業所技術者の要件として利用できる給水装置工事主任技術者、技能検定、建築設備士、1級計装士なども、それだけで管工事業の特定営業所技術者になることはできません。
指定建設業以外の業種では、一般建設業の営業所技術者となる要件を満たしたうえで、一定の元請工事について2年以上の指導監督的実務経験があれば、特定営業所技術者の要件を満たせる場合があります。
しかし、管工事業は指定建設業のため、この指導監督的実務経験による方法は利用できません。
特定建設業の管工事業を取得する場合は、1級管工事施工管理技士や所定の技術士など、指定建設業に対応する資格を有する技術者を配置する必要があります。
「金額の大きな管工事を受注するなら特定建設業が必要」と思われることがありますが、一般建設業と特定建設業の違いは、単純な工事の請負金額ではありません。
令和7年2月1日以降、発注者から直接工事を請け負った元請業者が、その工事について下請契約の請負代金の合計が5,000万円以上となる場合には、原則として特定建設業許可が必要です。
そのため、一般建設業の管工事業許可であっても、受注する工事そのものの請負金額に上限が設定されているわけではありません。
管工事業には、冷暖房設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、浄化槽工事、ガス管配管工事、ダクト工事など、さまざまな設備工事が含まれます。
一般建設業の営業所技術者については、管工事施工管理技士などの資格、指定学科+実務経験、10年以上の管工事の実務経験などによって要件を満たせる場合があります。
実際に当事務所でも、2級管工事施工管理技士の資格、指定学科+実務経験、10年以上の実務経験、前職と独立後の実務経験の合算など、さまざまな方法で管工事業の建設業許可取得をサポートしています。
一方、管工事業は指定建設業であるため、施工管理技術検定の第一次検定+実務経験による営業所技術者要件の緩和は利用できません。
また、特定建設業では一定の1級国家資格等が必要となり、指導監督的実務経験のみで特定営業所技術者の要件を満たすこともできません。
建設業許可全体の要件や申請方法については、 福岡の建設業許可総合ページ をご参照ください。
※本記事は2026年10月時点の法令・福岡県の案内をもとに作成しています。 令和5年7月1日の技術者資格要件の見直し、令和6年12月13日の「営業所技術者等」への名称変更、令和7年2月1日の特定建設業許可等に関する金額基準の改正に対応しています。
行政書士 本田奈美

行政書士(登録番号:第24402289号)
福岡県行政書士会所属/CCUS登録行政書士
建設業許可を中心に、経営事項審査・各種許認可手続きをサポートしています。
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