「外壁塗装や鋼構造物の塗装は、塗装工事業の許可が必要?」
「資格がなくても、これまでの塗装工事の実務経験で建設業許可を取得できる?」
塗装工事業の建設業許可を検討されている方から、このようなご相談をいただくことがあります。
建築一式工事以外では、1件の請負代金が500万円未満(税込)の工事が「軽微な建設工事」とされているため、税込500万円以上の塗装工事を請け負う場合には、原則として塗装工事業の建設業許可が必要です。
軽微な工事についてはこちらをご参照ください!
本記事では、塗装工事の定義や具体例、他の工事業種との違い、一般建設業・特定建設業における営業所技術者等の要件について詳しく解説します。
建設業許可全体の要件・費用・申請方法などを確認したい方は、
福岡の建設業許可総合ページ
もあわせてご参照ください。
※本記事は2026年9月時点の法令・福岡県の案内をもとに作成しています。令和5年7月1日の技術者資格要件の見直し、令和6年12月13日の「営業所技術者等」への名称変更、令和7年2月1日の特定建設業許可等に関する金額基準の改正に対応しています。
目次
塗装工事とは、塗料や塗材などを工作物に吹き付けたり、塗り付けたり、貼り付けたりする工事をいいます。
建築物や構造物の美観を整えるだけでなく、防腐や耐候性の確保などを目的として行われる工事も含まれます。
具体的な工事例として、次のようなものがあります。
例えば、建物の外壁塗装や橋梁などの鋼構造物の塗装、道路の区画線を引く路面標示工事などが該当します。
ただし、塗料や塗材を使用する工事がすべて塗装工事に該当するわけではありません。実際の工法や施工内容によって、他の建設業種に区分される場合があります。
塗装工事と似た工事でも、工事の目的や施工方法によって必要となる建設業許可が異なる場合があります。
外壁塗装などの塗装工事と、塗膜防水工事などの防水工事は、同じ現場で施工されることもありますが、建設業法上は別の工事業種です。
例えば、建物の外壁などに塗料を塗り、美観の向上や表面の保護を行う工事は、一般的に塗装工事に該当します。
一方、塗膜防水工事は「防水工事」に該当します。
「塗る工事だから塗装工事」と一律に判断するのではなく、使用する材料や工法、工事の目的などを確認して業種を判断することが重要です。
道路に関係する工事でも、路面標示工事と舗装工事では業種が異なります。
道路に区画線や横断歩道などを表示する「路面標示工事」は塗装工事に該当します。
一方、道路などの地盤面をアスファルトやコンクリートなどで舗装する工事は「舗装工事」に該当します。
塗装工事業の一般建設業許可を取得するには、営業所に塗装工事業の要件を満たす「営業所技術者」を配置する必要があります。
※以前「営業所の専任技術者」と呼ばれていた者は、現在、一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」とされ、両者をまとめて「営業所技術者等」といいます。
まずは、ご自身がどの要件に当てはまりそうか確認してみましょう。
営業所技術者等の制度全体については、 営業所技術者等の資格・実務経験についての記事 もあわせてご参照ください。
塗装工事業の一般建設業許可で営業所技術者となることができる代表的な資格等には、次のようなものがあります。
2級技能検定「塗装」の場合は、原則として合格後3年以上の塗装工事の実務経験が必要です。
資格の種類や取得時期によって取扱いが異なる場合がありますので、申請前に資格証の内容を確認しておきましょう。
塗装工事業の指定学科は、土木工学または建築学に関する学科です。
指定学科を卒業している場合は、学歴に応じて必要な実務経験年数を短縮できます。
学科名だけでは指定学科に該当するか判断しにくい場合もあるため、必要に応じて卒業証明書などを確認して判断します。
資格や指定学科の学歴がない場合でも、塗装工事について10年以上の実務経験があれば、営業所技術者の要件を満たすことができます。
ただし、単に建設業に10年以上携わっているというだけではなく、必要な期間について塗装工事に従事していたことを確認できる必要があります。
そのため、過去にどのような工事を行っていたのか、どの期間を塗装工事の実務経験として使用できるのかを整理することが重要です。
令和5年7月1日から、一定の施工管理技術検定の第一次検定合格者について、指定学科卒業者と同様に取り扱う制度が設けられています。
塗装工事業では、塗装工事の指定学科である土木工学または建築学に対応する施工管理技術検定について、次のような方法で営業所技術者の要件を満たせる場合があります。
例えば、土木施工管理・造園施工管理は土木工学、建築施工管理は建築学と同等に取り扱われます。
資格の級や検定種目によって利用できる要件が異なるため、資格証の内容を確認したうえで判断することが重要です。
資格を使用せず、実務経験によって営業所技術者の要件を満たす場合は、10年以上の経験があることに加えて、実際に塗装工事を行っていたことを確認できる資料も重要です。
過去の契約書、注文書、請求書などを確認し、工事内容や期間から塗装工事の実務経験を証明していきます。
特に「外壁改修工事一式」「建物修繕工事一式」などの工事件名だけでは、塗装工事を行ったことが分かりにくい場合があります。
その場合は、工事明細など具体的な施工内容が分かる資料も確認しながら、塗装工事として証明できるか検討します。
「昔の請求書が使える?」「10年分の実務経験を証明できそう?」という段階でもご相談いただけます。
「10年以上塗装工事をしているけれど、どの資料を準備すればいい?」
「昔の請求書で塗装工事の実務経験を証明できる?」
「資格がなくても建設業許可を取得できるか確認してほしい」
これまでのご経歴やお持ちの資料を確認しながら、申請できる方法を検討します。
塗装工事業の建設業許可について相談する
当事務所で実際にサポートした建設業許可申請については、 建設業許可の取得実績 もご覧いただけます。
塗装工事業の特定建設業許可では、一般建設業よりも厳しい技術者要件が定められています。
塗装工事業は指定建設業ではないため、一定の資格のほか、指導監督的実務経験によって特定営業所技術者の要件を満たせる場合があります。
塗装工事業の特定営業所技術者となることができる代表的な資格は、次のとおりです。
一般建設業の営業所技術者となる要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の塗装工事について、2年以上の指導監督的実務経験を有している場合などは、特定営業所技術者の要件を満たせる場合があります。
ここでいう指導監督的実務経験とは、工事現場主任や現場監督者などの立場で、工事の設計・施工の全般について技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
なお、令和7年2月1日以降、塗装工事について特定建設業許可が必要となるのは、元請として請け負った工事について、下請契約の請負代金の合計が5,000万円以上となる場合です。
この「5,000万円」と、特定営業所技術者の指導監督的実務経験で使用する工事の「4,500万円」は別の基準ですので、混同しないよう注意しましょう。
塗装工事業には、建物の塗装工事、鋼構造物塗装工事、溶射工事、ライニング工事、路面標示工事などが含まれます。
ただし、塗料や塗材を使用する工事でも、塗膜防水工事などは別の建設業種に区分されるため、実際の施工内容を確認して判断することが重要です。
一般建設業の営業所技術者については、対応する資格、指定学科+実務経験、10年以上の実務経験、施工管理技術検定合格+実務経験などによって要件を満たせる場合があります。
特に実務経験で申請する場合は、必要な年数を満たしているだけでなく、過去の契約書や請求書などから塗装工事の経験を証明できるかどうかも重要です。
建設業許可全体の要件や申請方法については、 福岡の建設業許可総合ページ をご参照ください。
行政書士 本田奈美

行政書士(登録番号:第24402289号)
福岡県行政書士会所属/CCUS登録行政書士
建設業許可を中心に、経営事項審査・各種許認可手続きをサポートしています。
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