熱絶縁工事の建設業許可を取得する方法を福岡の行政書士が解説します

「保温工事は熱絶縁工事に該当する?」「管工事の許可があれば施工できる?」など、熱絶縁工事業の許可について判断に迷われる方も多いのではないでしょうか。

熱絶縁工事について、軽微な建設工事を超える工事を請け負う場合には、熱絶縁工事業の建設業許可が必要です。
建築一式工事以外では、1件の請負代金が500万円未満(税込)の工事が「軽微な建設工事」とされているため、税込500万円以上の熱絶縁工事を請け負う場合には、原則として建設業許可が必要です。
軽微な工事についてはこちらをご参照ください!

本記事では、熱絶縁工事の定義や具体例、管工事との違い、一般建設業・特定建設業における営業所技術者等の要件について詳しく解説します。

建設業許可全体の要件・費用・申請方法などを確認したい方は、 福岡の建設業許可総合ページ もあわせてご参照ください。

※本記事は2026年9月時点の法令・福岡県の案内をもとに作成しています。令和5年7月の技術者要件の見直し、令和6年12月13日の「営業所技術者等」への名称変更、令和7年2月1日の特定建設業許可等に関する金額基準の改正に対応しています。

※令和6年12月13日施行の建設業法改正により、それまでの「営業所の専任技術者」は、一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」という名称になりました。これらをまとめて「営業所技術者等」といいます。

熱絶縁工事とは?

建設業法上の熱絶縁工事とは、工作物または工作物の設備を熱絶縁する工事をいいます。

配管・ダクト・タンク・設備などに断熱材や保温材・保冷材を施工し、熱の放散や外部からの熱の侵入を防ぐ工事などが該当します。

熱絶縁工事の具体例

建設業法上、熱絶縁工事の代表例として、次のような工事があります。

  • 冷暖房設備の熱絶縁工事
  • 冷凍冷蔵設備の熱絶縁工事
  • 動力設備の熱絶縁工事
  • 燃料工業・化学工業等の設備の熱絶縁工事
  • ウレタン吹付け断熱工事

実際の現場では、配管やダクト等の保温・保冷工事、断熱工事、断熱材を保護するためのラッキング工事などが行われることもあります。

管工事との違い

熱絶縁工事と管工事は、一緒に施工されることも多い業種です。

例えば、冷暖房設備の配管や機器を設置する工事は「管工事」に該当しますが、その配管や設備に保温材・保冷材などを施工して熱絶縁する部分は「熱絶縁工事」に該当します。

工事件名だけでは判断しにくい場合もあるため、実際にどのような施工を行っているかを確認して業種を判断することが重要です。

管工事業の建設業許可についてはこちらをご参照ください!

一般建設業の営業所技術者要件とは?

熱絶縁工事業の一般建設業許可を取得するには、営業所に熱絶縁工事業の要件を満たす「営業所技術者」を配置する必要があります。

主な要件の満たし方には、資格、指定学科+実務経験、10年以上の実務経験などがあります。

申請ルート 主な要件
資格で申請 1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(仕上げ)、熱絶縁施工の技能検定など
指定学科+実務経験 土木・建築・機械工学に関する指定学科を卒業後、3年または5年以上の実務経験
実務経験のみ 熱絶縁工事について10年以上の実務経験
複数業種の実務経験 建築工事と熱絶縁工事を合わせて通算12年以上など、一定の要件を満たす場合
施工管理技術検定+実務経験 一定の技術検定合格後、熱絶縁工事について3年または5年以上の実務経験

詳しい要件をそれぞれ見ていきましょう。

営業所技術者等の制度や、資格・実務経験による要件全体については、 営業所技術者等(旧・専任技術者)の要件についての記事 もあわせてご参照ください。

1.資格で申請する

熱絶縁工事業の一般建設業許可で営業所技術者となることができる代表的な資格等は、次のとおりです。

  • 1級建築施工管理技士
  • 2級建築施工管理技士(仕上げ)
  • 1級技能検定「熱絶縁施工」
  • 2級技能検定「熱絶縁施工」+所定の実務経験
  • 登録保温保冷基幹技能者
  • 登録ウレタン断熱基幹技能者

2級の熱絶縁施工については、原則として合格後3年以上の熱絶縁工事の実務経験が必要です。

ただし、平成16年4月1日時点ですでに旧技能検定の2級熱絶縁施工に合格していた方については、その後1年以上の実務経験で認められる場合があります。

また、登録基幹技能者についても、対象となる建設工事について一定の実務経験を有していることなどの要件があります。資格・講習の名称だけで判断せず、申請前に個別に確認しましょう。

2.指定学科+実務経験で申請する

熱絶縁工事業の指定学科は、

  • 土木工学
  • 建築学
  • 機械工学

に関する学科です。

指定学科を卒業している場合は、学歴に応じて必要な実務経験年数を短縮できます。
・大学・高等専門学校等:卒業後3年以上の実務経験
・高等学校等:卒業後5年以上の実務経験

3.10年以上の実務経験で申請する

資格や指定学科の学歴がない場合でも、熱絶縁工事について10年以上の実務経験があれば、一般建設業の営業所技術者の要件を満たすことができます。

ただし、単に建設業で10年以上働いているというだけではなく、熱絶縁工事に従事していたことを確認できる必要があります。

4.建築工事の経験と組み合わせられる場合もある

熱絶縁工事について10年間の実務経験がなくても、一定の組み合わせによって営業所技術者の要件を満たせる場合があります。

建築工事業と熱絶縁工事業に係る建設工事について通算12年以上の実務経験があり、そのうち熱絶縁工事業について8年を超える実務経験がある場合です。

「熱絶縁工事8年以上+ほかの建設業なら何でもよい」という制度ではありません。組み合わせることができる業種が決められているため注意しましょう。

5.施工管理技術検定合格+実務経験で申請できる場合もある

令和5年7月から、一定の施工管理技術検定の合格者について、指定学科卒業者と同様に取り扱う制度が設けられています。

熱絶縁工事業もこの制度の対象となっており、一定の施工管理技術検定について、1級の第一次検定等に合格した後3年以上、2級の第一次検定等に合格した後5年以上の熱絶縁工事の実務経験を有することで、営業所技術者の要件を満たせる場合があります。

熱絶縁工事業では、土木施工管理・建築施工管理・管工事施工管理・造園施工管理など、一定の施工管理技術検定が対象となります。

ただし、検定種目や級、第一次検定・第二次検定の違いによって取扱いが異なるため、個別に確認することが重要です。

「自社で行ってきた保温・保冷工事を実務経験として使えるのか分からない」「工事件名だけでは熱絶縁工事に該当するか判断できない」という場合もあります。
当事務所では、資格や過去の工事内容を確認したうえで、熱絶縁工事業の建設業許可を取得できる可能性があるか確認いたします。
判断に迷われる場合は、こちらからお気軽にご相談ください。

特定建設業の特定営業所技術者要件とは?

熱絶縁工事業の特定建設業許可では、一般建設業よりも厳しい技術者要件が定められています。

1.資格で申請する

熱絶縁工事業の特定営業所技術者となることができる代表的な資格は、

  • 1級建築施工管理技士

です。

2.指導監督的実務経験で申請する場合

熱絶縁工事業は指定建設業ではないため、一定の指導監督的実務経験によって特定営業所技術者の要件を満たせる場合があります。

一般建設業の営業所技術者となる要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った4,500万円以上の熱絶縁工事について、2年以上の指導監督的実務経験を有している場合などが該当します。

なお、令和7年2月1日以降、熱絶縁工事について特定建設業許可が必要となるのは、発注者から直接請け負った工事について、下請契約の請負代金の合計が5,000万円以上となる場合です。

この「5,000万円」と、特定営業所技術者の指導監督的実務経験における「4,500万円」は別の基準ですので、混同しないよう注意しましょう。

まとめ

熱絶縁工事業は、工作物やその設備を熱絶縁する工事で、冷暖房設備・冷凍冷蔵設備等の熱絶縁工事やウレタン吹付け断熱工事などが代表例です。

一般建設業の営業所技術者については、資格、指定学科+実務経験、10年以上の実務経験、建築工事との実務経験の組み合わせ、施工管理技術検定合格+実務経験などによって要件を満たせる場合があります。

特に実務経験を使用する場合は、どの建設業の経験でも自由に合算できるわけではありません。また、実際に熱絶縁工事を行っていたことを確認できる資料が必要となる場合がありますので、申請前に確認しておきましょう。

建設業許可全体について確認したい方は、 福岡の建設業許可総合ページ をご参照ください。

その他の建設業許可要件についてはこちらをご参照ください!

当事務所で実際にサポートした建設業許可申請については、 建設業許可の取得実績 もご覧いただけます。

福岡県の建設業許可をサポートする行政書士 本田奈美 行政書士 本田奈美
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