建設業許可で必要な経営業務の管理責任者とは?福岡の行政書士が解説します

福岡で行政書士をしている本田奈美です!

建設業許可を取得するためには、建設業の経営について一定の経験を有する者を置くなど、適正な経営管理体制を整える必要があります。

一般に「経営業務の管理責任者」や「経管(けいかん)」と呼ばれる要件です。

「個人事業主として5年以上建設業をしていれば大丈夫?」「以前勤めていた会社の役員経験も使える?」「父の個人事業を手伝っていた経験は使える?」など、経営経験に関するご相談は多くあります。

この記事では、建設業許可における経営業務の管理責任者等の要件と、福岡県で経営経験を証明するときの確認資料について詳しく解説します。

※本記事は2026年8月時点の建設業法及び福岡県の取扱いをもとに作成しています。

目次

建設業許可の「経営業務の管理責任者」とは?

建設業は、工事の完成までに資金調達や技術者の配置、下請業者との契約などさまざまな経営業務が必要となります。
そのため、建設業許可では、建設業の経営について一定期間の経験を有する者を置くなど、適正な経営管理体制を備えていることが許可要件となっています。

法人の場合は常勤役員等のうち1人、個人事業主の場合は本人または支配人のうち1人が一定の経験要件を満たす方法が一般的です。

また、一定の役員経験等を有する常勤役員等と、その者を直接補佐する者を組み合わせて要件を満たす方法もあります。

経営業務の管理責任者等の要件を満たす主な方法

建設業許可の経営経験に関する要件は、大きく分けると「常勤役員等1人で要件を満たす方法」「常勤役員等+補佐者で要件を満たす方法」があります。

① 常勤役員等1人で要件を満たす場合

法人の場合は常勤役員等のうち1人、個人事業主の場合は本人または支配人のうち1人が、次のいずれかに該当する必要があります。

1.建設業について5年以上の経営業務の管理責任者としての経験

最も一般的なのが、建設業について5年以上、経営業務の管理責任者としての経験があるケースです。

例えば、次のような経験が該当します。

  • 建設会社の取締役等としての経営経験
  • 建設業を営む個人事業主としての経営経験
  • 建設業許可業者の支店長・営業所長等として、対外的に責任ある立場で経営業務を総合的に管理した経験

なお、現在は、取得したい許可業種と同じ業種について5年間の経営経験が必要というわけではありません。
建設業に関する経営経験であれば、許可を取得しようとする業種が異なる場合でも要件を満たせる可能性があります。

例えば、内装仕上工事業を営む会社で5年以上取締役として経営経験がある方が、管工事業の建設業許可を申請する場合でも、経営経験の要件として使用できる可能性があります。

2.建設業について5年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位で経営を管理した経験

取締役などの役員ではなくても、建設業について5年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあり、経営業務を管理していた経験によって要件を満たせる場合があります。

ただし、単に「部長だった」「営業所長だった」という役職名だけで認められるものではありません。

例えば法人の場合、取締役会等から建設業に関する事業部門について具体的な業務執行権限の委譲を受け、代表取締役の指揮・命令のもとで経営業務を実際に管理していたことなどを確認する必要があります。

組織図、業務分掌規程、取締役会議事録、人事発令書などによって、地位や権限、経験期間等を証明します。

この要件に該当するかどうかは個別の審査となるため、事前に申請先へ確認することをおすすめします。

3.建設業について6年以上、経営業務の管理責任者を補佐した経験

建設業について、経営業務の管理責任者に準ずる地位で6年以上、経営業務の管理責任者を補佐した経験がある場合も、要件を満たせる可能性があります。

ここでいう補佐経験とは、単に事務や現場作業を手伝っていた経験ではありません。

資金調達、技術者・技能者の配置、下請業者との契約など、建設業の経営業務全般について、経営業務の管理責任者を補佐していた経験が必要です。

個人事業主のもとで事業主を補佐していた経験についても、この要件に該当する可能性があります。
ただし、「家族専従者だった」という事実だけで自動的に認められるものではなく、実際に経営業務全般を補佐していたことや、その期間を資料で確認できることが必要です。

② 常勤役員等+直接補佐者で要件を満たす場合

5年以上の建設業の経営経験を有する常勤役員等がいない場合でも、一定の経験を有する常勤役員等と、その者を直接補佐する者を配置することで経営管理体制の要件を満たせる場合があります。

この方法では、まず常勤役員等が次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • パターン1:建設業について2年以上の役員等としての経験があり、かつ、5年以上、役員等または役員等に次ぐ職制上の地位で財務管理・労務管理・業務運営のいずれかを担当した経験がある
  • パターン2:役員等として5年以上の経験があり、そのうち建設業について2年以上の役員等としての経験がある

パターン2の「5年以上の役員等としての経験」については、建設業以外の会社での役員経験を含めることができます。ただし、そのうち2年以上は建設業に関する役員等としての経験が必要です。

さらに、この常勤役員等を直接補佐する者として、次の3つの業務について、それぞれ5年以上の経験を有する者を配置する必要があります。

  • 財務管理
  • 労務管理
  • 業務運営

3つの経験をそれぞれ別の人が担当する必要はなく、1人が複数またはすべての経験を満たすことも可能です。

ただし、福岡県では補佐者の5年間の経験について、申請する会社での建設業に関する経験が必要とされています。
そのため、設立して5年未満の会社では、この補佐者ルートを利用することはできません。

また、補佐者は組織上・実態上、常勤役員等との間に他の者を介さず、直接その常勤役員等から指揮命令を受けて常勤で業務を行っている必要があります。

この方法による申請は福岡県では個別認定となるため、申請前の事前確認が重要です。

経営業務の管理責任者等になれる「役員」とは?

法人の場合、経営業務の管理責任者等となる「常勤役員等」には、株式会社の取締役など、法人の業務執行を担う役員が該当します。 なお、監査役は原則として該当しません。 ※株式会社以外の法人では、法人の種類に応じて業務執行社員や理事などが該当する場合があります。

一方、監査役は原則として経営業務の管理責任者等となる「役員」には該当しません。

監査役として5年以上建設会社に在籍していたら、経営業務の管理責任者になれる?
行政書士本田奈美
監査役は、原則として経営業務の管理責任者等の要件における「役員」には該当しません。取締役などとは扱いが異なるため注意が必要です!

経営業務の管理責任者等には「常勤性」も必要

経営経験の要件を満たしていても、その方が常勤していなければ経営業務の管理責任者等として認められません。

「常勤」とは、原則として本社・本店等において、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画のもと毎日所定の時間、その業務に従事している状態をいいます。

福岡県では、社会保険関係の資料など、申請者の状況に応じた確認資料によって常勤性を確認します。

なお、「役員報酬が月額10万円以上なら常勤として認められる」といった一律の基準ではありません。
実際の勤務状況などを含めて常勤性が判断されます。

また、住所が営業所から著しく遠く通常の通勤が困難な場合や、他の法人の代表取締役を務めている場合などは、常勤性について注意が必要です。

福岡県では経営経験をどのように証明する?

建設業許可では、「5年以上経営していました」と申告するだけでは経営業務の管理責任者等として認められません。
必要な期間について、役員・個人事業主等としての地位と、実際に建設業を営んでいたことを資料によって確認します。

法人役員としての経験を使用する場合

福岡県では、建設業許可を受けていない法人での役員経験を標準的な方法で証明する場合、主に次のような資料を確認します。

  • 法人税・消費税の確定申告書
  • 建設工事を行っていたことが分かる契約書、注文書、請求書等(原則として年1件以上)
  • 役員であった期間が確認できる商業登記

過去に勤務していた別会社での役員経験を使うことも可能ですが、その会社での役員期間や建設業を営んでいた事実を確認できる資料が必要になります。

個人事業主としての経験を使用する場合

個人事業主としての建設業の経営経験を使用する場合、福岡県では標準的な確認資料として、

  • 確定申告書
  • 建設工事を行っていたことが分かる契約書、注文書、請求書等(原則として年1件以上)

などによって必要期間を確認します。

例えば5年間の個人事業主経験を使用するのであれば、原則として必要な5年間について建設業を営んでいたことを確認できる資料を準備します。

許可業者での経営経験の場合

過去の勤務先や自身の事業がすでに建設業許可を受けていた場合は、許可書や営業の沿革、当時の申請書類などを利用して経営経験を確認できる場合があります。

どの資料が必要になるかは、福岡県知事許可業者での経験か、国土交通大臣許可・他都道府県知事許可業者での経験かなどによっても異なります。

「5年の経験はあるけど資料がない」という場合に注意

経営業務の管理責任者等の要件で実際に問題になりやすいのは、経験年数よりもその経験を証明できる資料が残っているかという点です。

例えば、10年以上前に別会社の取締役として建設業を経営していたとしても、当時の建設工事を確認できる資料が残っていなければ、標準的な方法での証明が難しくなることがあります。

過去の会社が解散している場合などでも証明できる可能性はありますので、最初から諦めず、登記や過去の許可状況、手元に残っている資料などを確認することをおすすめします。

経営業務の管理責任者等がいない場合はどうする?

現在の会社に要件を満たす方がいない場合には、まず過去の役員経験、個人事業主経験、事業主を補佐した経験など、使用できる経営経験がないか確認します。

それでも要件を満たす方がいない場合、要件を満たす方を新たに役員として迎える方法などを検討することがあります。

ただし、単に申請のために名前だけを役員として借りればよいわけではありません。
経営業務の管理責任者等となる方は、実際に会社の常勤役員等として勤務し、建設業の経営に携わる必要があります。

許可取得後に経営業務の管理責任者等が退職する場合にも注意

経営業務の管理責任者等の設置は、建設業許可を取得するときだけ満たせばよい要件ではありません。

許可取得後も継続して要件を満たしている必要があり、経営業務の管理責任者等が退職して後任者がいなくなった場合は、許可要件を欠くことになります。

そのため、経営業務の管理責任者等となっている役員の退職や交代を予定している場合は、退職前に後任者が要件を満たしているか確認しておくことが重要です。

経営業務の管理責任者等に関するよくある質問

別の会社での役員経験も使えますか?

はい。別会社で建設業の役員等として勤務していた経験も、要件を満たせば使用できます。

ただし、役員であった期間だけでなく、その会社が当時建設業を営んでいたことも資料で確認する必要があります。

取得したい業種と違う建設業での経営経験でも大丈夫ですか?

はい。現在の制度では、原則として取得したい許可業種と同一業種の経営経験である必要はありません。

建設業について必要な経営経験を有していることが確認できれば、異なる建設業種の許可申請でも経営業務の管理責任者等の要件を満たせる可能性があります。

父の個人事業で専従者として働いていました。補佐経験として使えますか?

個人事業主のもとで専従者として従事していた経験は、6年以上の「経営業務の管理責任者を補佐した経験」として使用できる場合があります。 福岡県では、確定申告書等で専従者として従事していた期間を確認して申請します。 例えば、お父様が個人事業主として建設業を営んでおり、そのもとで6年以上専従者として従事していた場合には、経営業務の管理責任者等の要件を満たせる可能性があります。 なお、補佐経験については個別に判断されるため、申請前に確認することをおすすめします。

まとめ|経営経験は「年数」だけでなく「証明できるか」が重要

建設業許可の経営業務の管理責任者等について、最も一般的なのは、建設業について5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する常勤役員等を置く方法です。

そのほかにも、経営業務の管理責任者に準ずる地位での経験、6年以上の補佐経験、一定の常勤役員等と直接補佐者を組み合わせる方法などがあります。

ただし、建設業許可申請では「5年以上経験があります」という説明だけではなく、過去の登記、確定申告書、契約書、注文書、請求書などによって、その経験を客観的に証明する必要があります。

特に過去の会社での経験や古い個人事業主としての経験を使用する場合は、資料が残っているかを早めに確認しておくことが重要です。

当事務所では、福岡県の建設業許可について、「自分の経営経験が要件を満たすか」「過去の会社での役員経験を使えるか」「手元にある資料で5年間を証明できるか」といった段階から確認を行っております。
初回相談・お見積もりは無料で対応しておりますので、お気軽にこちらまでお問い合わせください!

国土交通省「建設業許可の要件」
福岡県「建設業許可の手引き、申請書類などはこちら」

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