「瓦工事や板金屋根工事には、どの建設業許可が必要?」
「資格がなくても、屋根工事の実務経験で許可を取得できる?」
「屋根塗装や太陽光パネルの設置も屋根工事になる?」
屋根工事業の建設業許可を検討されている方から、このようなご相談をいただくことがあります。
建築一式工事以外では、1件の請負代金が500万円未満(税込)の工事が「軽微な建設工事」とされているため、税込500万円以上の屋根工事を請け負う場合には、原則として屋根工事業の建設業許可が必要です。
建設業許可の500万円基準・軽微な工事について詳しくはこちら
本記事では、屋根工事に該当する工事の内容や他業種との違い、一般建設業・特定建設業における営業所技術者等の資格・実務経験について詳しく解説します。
福岡県で建設業許可申請を取り扱う行政書士 本田奈美が、2026年10月時点の制度をもとに解説します。
建設業許可全体の要件・費用・申請方法については、
福岡の建設業許可総合ページ
もあわせてご参照ください。
目次
建設業法上の屋根工事とは、瓦、スレート、金属薄板等によって屋根をふく工事をいいます。
「瓦」「スレート」「金属薄板」は屋根材の例であり、それ以外の材料を使用する屋根ふき工事も屋根工事に含まれます。
代表的な工事として、次のようなものがあります。
金属板を使用する工事には「板金工事」もあるため、屋根工事との区分が分かりにくいことがあります。
建築物の外壁にカラー鉄板等を取り付ける工事は「板金工事」に該当しますが、金属薄板等によって屋根をふく板金屋根工事は「屋根工事」に該当します。
使用する材料だけでなく、「どこに、どのような施工をするのか」によって建設業法上の業種を判断することが重要です。
「屋根に関する工事だから、すべて屋根工事になる」というわけではありません。
例えば、既存の屋根に塗料を塗る屋根塗装は、屋根をふく工事ではなく、塗料等を工作物に塗り付ける「塗装工事」に該当します。
そのため、「屋根工事」という名称で請け負っていた場合でも、実際の施工内容が塗装のみであれば、屋根工事業の実務経験として扱うことはできません。
太陽光パネルの設置工事についても、施工方法によって建設業法上の業種が異なります。
屋根材と一体となった太陽光パネルを設置する工事は「屋根工事」に該当します。
一方、太陽光発電設備そのものの設置工事は「電気工事」に該当します。
太陽光発電パネルを屋根に設置する工事では、屋根等の止水処理を伴うこともあるため、実際の施工内容を確認して必要な許可業種を判断することが重要です。
屋根工事業の一般建設業許可を取得するには、営業所に屋根工事業の要件を満たす「営業所技術者」を配置する必要があります。
屋根工事業の営業所技術者になる主な方法は次のとおりです。
※以前「営業所の専任技術者」と呼ばれていた者は、令和6年12月13日の建設業法改正により、一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」とされ、両者をまとめて「営業所技術者等」といいます。
営業所技術者等の制度全体については、 営業所技術者等の資格・実務経験についての記事 もあわせてご参照ください。
屋根工事業の一般建設業許可で営業所技術者となることができる代表的な資格等には、次のようなものがあります。
建築板金については、技能検定の区分によって屋根工事業の資格として認められるものと認められないものがあります。
例えば、建築板金のうち屋根工事業の資格として認められるのは、対象となる作業区分に該当する場合です。「ダクト板金作業」は屋根工事業の資格として扱われません。
また、2級技能検定については、原則として合格後3年以上の屋根工事の実務経験が必要です。古い年度に取得した資格については必要となる実務経験年数が異なる場合があるため、合格年月日も確認して判断します。
屋根工事業の指定学科は、土木工学または建築学に関する学科です。
指定学科を卒業している場合は、学歴に応じて必要となる屋根工事の実務経験年数を短縮できます。
申請時には、卒業証明書等による指定学科の確認と、屋根工事について必要な期間の実務経験を確認できる資料が必要になります。
資格や指定学科の学歴がない場合でも、屋根工事について10年以上の実務経験があれば、一般建設業の営業所技術者の要件を満たすことができます。
ただし、単に「屋根に関する仕事を10年以上している」というだけでは足りません。
瓦による屋根ふき工事、板金屋根工事など、建設業法上の屋根工事に該当する工事について必要な実務経験があることを証明する必要があります。
例えば、屋根塗装だけを行っていた期間については、屋根工事ではなく塗装工事の実務経験として判断されるため注意が必要です。
屋根工事について10年以上の実務経験がなくても、一定の実務経験の組み合わせによって営業所技術者の要件を満たせる場合があります。
建築工事業と屋根工事業に係る建設工事について通算12年以上の実務経験があり、そのうち屋根工事業について8年を超える実務経験がある場合です。
「屋根工事8年以上+ほかの建設工事なら何でも合算できる」という制度ではなく、建築工事業との組み合わせである点に注意しましょう。
令和5年7月1日から、一定の施工管理技術検定の第一次検定合格者について、指定学科卒業者と同様に取り扱う制度が設けられています。
屋根工事業は指定建設業ではないため、この制度を利用できます。
屋根工事業では、土木工学または建築学に対応する施工管理技術検定が対象となるため、土木施工管理・造園施工管理・建築施工管理の第一次検定を活用できる場合があります。
お持ちの第一次検定の種類や合格時期によって利用できるかを確認したうえで申請を進めます。
資格を使用せず、実務経験によって営業所技術者の要件を満たす場合は、必要な実務経験年数があることに加えて、その期間に実際に屋根工事を行っていたことを確認できる資料も重要です。
過去の契約書、注文書、請求書などを確認し、工事内容や期間から屋根工事の実務経験を証明していきます。
例えば、「住宅改修工事一式」「リフォーム工事一式」などの記載だけでは、屋根工事を行っていたことが分かりにくい場合があります。
その場合は、見積書や工事明細など、瓦工事・板金屋根工事・屋根ふき工事などの具体的な施工内容が確認できる資料も含めて、実務経験として証明できるか検討します。
「昔の請求書で屋根工事の実務経験を証明できる?」
「屋根工事の経験が10年に少し足りない」
「建築工事の経験と合わせて申請できる?」
「この工事は屋根工事として使える?」
このような段階でもご相談いただけます。
これまでのご経歴やお持ちの資料を確認しながら、申請できる方法を検討します。
当事務所では、実際に福岡県内の事業者様から屋根工事業を含む建設業許可申請をご依頼いただき、許可取得をサポートしています。
福岡県大野城市の株式会社WIDE BAUM様より建設業許可の新規申請をご依頼いただき、屋根工事業を含む6業種の許可を取得されました。
今回は、2級建築士の資格によって屋根工事業を含む5業種について営業所技術者の要件を満たして申請しています。
代表者様だけでは経営業務の管理責任者等の経験要件を満たすことが難しかったため、5年以上の建設業の経営経験を有する方が取締役に就任し、常勤役員として経営業務の管理責任者等の要件も整えた事例です。
このように、屋根工事業では実務経験だけでなく、2級建築士などの資格によって営業所技術者の要件を満たせる場合もあります。
屋根工事業の特定建設業許可では、一般建設業よりも厳しい技術者要件が定められています。
屋根工事業は、特定建設業の技術者要件が特に厳しく定められている「指定建設業」には該当しません。
そのため、一定の国家資格のほか、一般建設業の営業所技術者の要件を満たしたうえで、所定の指導監督的実務経験を有する場合にも特定営業所技術者の要件を満たせる場合があります。
屋根工事業の特定営業所技術者となることができる代表的な資格は、次のとおりです。
一般建設業の営業所技術者となる要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の屋根工事について、2年以上の指導監督的実務経験を有している場合などは、特定営業所技術者の要件を満たせる場合があります。
ここでいう指導監督的実務経験とは、建設工事の設計・施工の全般について、工事現場主任や工事現場監督者などの立場で、工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
「金額の大きな屋根工事を受注するなら特定建設業が必要」と思われることがありますが、一般建設業と特定建設業の違いは、単純な工事の請負金額ではありません。
令和7年2月1日以降、発注者から直接工事を請け負った元請業者が、その工事について下請契約の請負代金の合計が5,000万円以上となる場合には、原則として特定建設業許可が必要です。
そのため、一般建設業の屋根工事業許可であっても、発注者から直接受注する工事そのものの請負金額に上限が設定されているわけではありません。
また、特定建設業許可が必要となる下請総額の「5,000万円」と、特定営業所技術者の指導監督的実務経験で使用する元請工事の「4,500万円」は別の基準です。
建設業法上の屋根工事とは、瓦・スレート・金属薄板等によって屋根をふく工事です。
板金屋根工事や屋根断熱工事、屋根一体型太陽光パネルの設置工事などは屋根工事に該当しますが、屋根塗装は塗装工事となるなど、同じ屋根に関する工事でも建設業法上の業種が異なる場合があります。
一般建設業の営業所技術者については、建築施工管理技士・建築士・技能検定・登録基幹技能者などの資格、指定学科+実務経験、10年以上の実務経験、建築工事との実務経験の組み合わせ、施工管理技術検定の第一次検定+実務経験などによって要件を満たせる場合があります。
実際に当事務所でも、2級建築士の資格を使用して屋根工事業を含む複数業種の許可取得をサポートした事例があります。
特に実務経験で申請する場合は、必要な年数だけでなく、過去の契約書・注文書・請求書等から屋根工事の経験を証明できるかどうかも重要です。
建設業許可全体の要件や申請方法については、 福岡の建設業許可総合ページ をご参照ください。
※本記事は2026年10月時点の法令・福岡県の案内をもとに作成しています。 令和5年7月1日の技術者資格要件の見直し、令和6年12月13日の「営業所技術者等」への名称変更、令和7年2月1日の特定建設業許可等に関する金額基準の改正に対応しています。
行政書士 本田奈美

行政書士(登録番号:第24402289号)
福岡県行政書士会所属/CCUS登録行政書士
建設業許可を中心に、経営事項審査・各種許認可手続きをサポートしています。
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