建設業許可の欠格要件とは?刑事処分・破産・5年ルールを福岡の行政書士が解説

福岡で行政書士をしている本田奈美です!

建設業許可を取得するためには、経営業務の管理体制や営業所技術者等、財産的基礎などの要件を満たすだけでなく、建設業法で定められた「欠格要件」に該当しないことが必要です。

欠格要件には、破産、過去の建設業許可の取消し、一定の刑事処分、暴力団員等に関するものなどがあります。

また、法人で申請する場合は代表取締役だけを確認すればよいわけではなく、他の役員等や建設業法施行令第3条に規定する使用人についても確認が必要です。

この記事では、建設業許可の欠格要件について、「過去に刑事処分を受けたことがある場合」「執行猶予中・執行猶予満了後の場合」「破産したことがある場合」「役員が欠格要件に該当する場合」なども含めて解説します。

目次

建設業許可の欠格要件とは?

建設業法第8条では、一定の事由に該当する場合には建設業許可をしてはならないと定められています。

これが一般に「欠格要件」と呼ばれているものです。

建設業法第8条では、第1号から第14号までの欠格要件が定められています。

また、これらの欠格要件とは別に、許可申請書や添付書類の重要な事項について虚偽の記載がある場合や、重要な事実の記載が欠けている場合にも、許可を受けることができません。

申請書に重要な虚偽や記載漏れがある場合も許可されない

建設業許可申請では、申請書や添付書類に重要な事項について虚偽の記載があったり、重要な事実の記載が欠けていたりする場合、許可を受けることができません。

そのため、過去の処分等について「書かなければ分からないだろう」と考えて、事実と異なる内容で申請することは避けなければなりません。

過去の処分が欠格要件に該当するか判断が難しい場合は、処分の内容や時期を確認したうえで、申請前に行政庁や専門家へ相談することをおすすめします。

欠格要件は誰について確認される?

欠格要件は、申請する法人や個人事業主本人だけについて確認するものではありません。

法人の場合は、役員等や建設業法施行令第3条に規定する使用人などについても、欠格要件への該当の有無を確認する必要があります。

ここでいう「役員等」には、株式会社の取締役、指名委員会等設置会社の執行役、持分会社の業務を執行する社員、法人格のある組合等の理事などが含まれます。

また、相談役・顧問・株主等であっても、法人に対して取締役等と同等以上の支配力を有すると認められる場合には、「役員等」に該当することがあります。

そのため、代表取締役本人に問題がなくても、他の役員等が欠格要件に該当することによって、法人として建設業許可を受けられない場合があります。

建設業法第8条の14の欠格要件

1.破産者で復権を得ていない場合

破産手続開始の決定を受け、まだ復権を得ていない方は欠格要件に該当します。

ただし、「過去に一度でも破産したことがあれば、その後ずっと建設業許可を取得できない」という意味ではありません。

復権を得ている場合には、この欠格要件には該当しません。

2.一定の理由で建設業許可を取り消され、5年を経過していない場合

不正な手段で許可を受けた場合や、営業停止処分に違反した場合など、建設業法で定められた一定の理由によって許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない場合は欠格要件に該当します。

3.一定の取消処分に関する聴聞通知後に廃業し、5年を経過していない場合

一定の許可取消処分について聴聞の通知を受けた後、その処分が行われるまで、または処分をしないことが決定されるまでの間に廃業届を提出した場合には、その廃業届の日から5年を経過していない間は欠格要件に該当します。

単に事業をやめるため通常の廃業届を提出したすべてのケースが、この欠格要件に該当するわけではありません。

4.上記の廃業に関係した一定の役員等で、5年を経過していない場合

上記3の廃業届が提出された場合、取消処分に関する聴聞の通知日前60日以内に、その法人の役員等や建設業法施行令第3条に規定する使用人であった方などについても、一定の場合には廃業届の日から5年間欠格要件の対象となります。

5.営業停止期間が終了していない場合

建設業法に基づいて営業停止を命じられ、その停止期間がまだ終了していない場合も欠格要件として定められています。

6.営業禁止期間が終了していない場合

許可を受けようとする建設業について営業を禁止され、その禁止期間が終了していない場合も欠格要件となります。

7.拘禁刑以上の刑に処せられ、5年を経過していない場合

拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない場合は、欠格要件に該当します。

古い建設業許可の資料では「禁錮以上の刑」と記載されていることがありますが、刑法改正後の現在の建設業法では「拘禁刑以上の刑」とされています。

執行猶予期間中は欠格|満了後さらに5年待つ必要はない

拘禁刑について執行猶予付きの判決を受けた場合、執行猶予期間中は欠格要件に該当します。

一方、執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過した場合には、刑法第27条により刑の言渡しは効力を失います。

そのため、執行猶予期間が無事に満了した場合、そこからさらに5年間待つ必要はありません。

他の欠格要件にも該当していなければ、執行猶予期間の満了後に建設業許可を申請することができます。

執行猶予が終わったあとも、さらに5年間待たないと建設業許可は取れない?
行政書士本田奈美
いいえ。執行猶予期間中は欠格要件に該当しますが、執行猶予の取消しなく猶予期間が満了すると、刑の言渡しは効力を失います。そのため、猶予期間満了後にさらに5年間待つ必要はありません。他の欠格要件に該当していなければ、建設業許可を申請できます。

8.一定の法令違反等で罰金刑を受け、5年を経過していない場合

「罰金刑を受けたことがある=すべて建設業許可を取得できない」というわけではありません。

建設業法、建設工事の施工や建設工事に従事する労働者の使用に関する一定の法令、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一定の規定、一定の刑法上の犯罪などにより罰金刑に処せられた場合が対象となります。

この場合も、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しているかがポイントになります。

前に罰金刑を受けたことがあります。建設業許可は絶対に取れない?
行政書士本田奈美
罰金刑を受けたことがあるだけで、必ず建設業許可が取れなくなるわけではありません。どの法令・どの罪による処分なのか、刑の内容、刑の執行を終えた時期などによって判断が変わります。過去に刑事処分を受けたことがある場合は、申請前に個別に確認しましょう。

9.暴力団員または暴力団員でなくなってから5年を経過していない場合

暴力団員である場合や、暴力団員でなくなった日から5年を経過していない場合も欠格要件に該当します。

10.精神の機能の障害により、建設業を適正に営むために必要な認知・判断・意思疎通を適切に行うことができない場合

精神の機能の障害により、建設業を適正に営むに当たって必要となる認知、判断および意思疎通を適切に行うことができない方は欠格要件に該当します。

成年被後見人・被保佐人だから一律に欠格になるわけではない

古い建設業許可の解説では、「成年被後見人・被保佐人は建設業許可を受けられない」と記載されていることがあります。

しかし現在は、成年被後見人や被保佐人であることだけを理由として、一律に欠格要件となる制度ではありません。

現在は、その方が建設業を適正に営むために必要な認知・判断・意思疎通を適切に行うことができるかという観点から判断されます。

一方、「破産者で復権を得ていない方」は、現在も別の欠格要件として定められています。

11.一定の未成年者で、その法定代理人が欠格要件に該当する場合

営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者が申請する場合、その法定代理人が建設業法で定める一定の欠格要件に該当すると、許可を受けることができません。

法定代理人が法人の場合には、その法人の役員等についても確認が必要となります。

12.法人の役員等や一定の使用人に欠格要件該当者がいる場合

法人の場合、その役員等や建設業法施行令第3条に規定する使用人の中に、建設業法第8条で定める一定の欠格要件に該当する方がいる場合には、法人として建設業許可を受けることができません。

そのため、代表取締役だけでなく、他の取締役等についても確認が必要です。

なお、第12号には、許可取消し・廃業・営業禁止等に関して一定の例外規定もあるため、過去の行政処分が関係する場合には個別に確認する必要があります。

13.個人事業主の一定の使用人に欠格要件該当者がいる場合

個人事業主の場合でも、建設業法施行令第3条に規定する使用人の中に一定の欠格要件に該当する方がいる場合には、許可を受けることができません。

この場合も、過去の許可取消し・廃業・営業禁止等については法律上の例外規定があるため、該当する可能性がある場合は個別に確認しましょう。

14.暴力団員等が事業活動を支配している場合

申請者自身が暴力団員等でなくても、暴力団員等がその事業活動を支配している場合は、建設業許可を受けることができません。

建設業許可の更新では欠格要件の適用範囲が一部異なる

ここは少し細かいですが、建設業法第8条を正確に理解するうえで重要なポイントです。

新規許可等については第1号から第14号までの欠格要件が規定されていますが、許可の更新申請については、第1号および第7号から第14号までが不許可基準として適用されます。

そのため、第1号から第14号までのすべてについて「更新申請でもまったく同じように適用される」と考えるのは正確ではありません。

過去に許可取消し・営業停止等の行政処分がある場合には、新規申請なのか更新申請なのかも含めて個別に確認しましょう。

「5年以上前のことだから大丈夫」とは限らない|5年の起算日に注意

欠格要件では「5年」という期間が何度も出てきますが、すべて「事件があった日から5年」という意味ではありません。

例えば、

  • 一定の許可取消し:取消しの日
  • 一定の廃業:廃業届の日
  • 拘禁刑・一定の罰金刑:刑の執行を終えた日、または刑の執行を受けることがなくなった日
  • 暴力団員であった場合:暴力団員でなくなった日

など、欠格要件によって5年間を数え始める日が異なります。

そのため、「判決を受けてから5年経った」「事件から5年経った」というだけでは判断できない場合があります。

また、先ほど説明したとおり、執行猶予については別の考え方となり、執行猶予の取消しなく猶予期間を経過した場合には、そこからさらに5年間待つ必要はありません。

欠格要件に該当するか分からない場合、黙って申請しても大丈夫?
行政書士本田奈美
おすすめできません。申請書や添付書類の重要な事項について虚偽の記載がある場合や、重要な事実の記載が欠けている場合は、それ自体が許可されない理由になります。過去の処分が欠格要件に該当するか判断が難しい場合は、処分内容や時期を確認したうえで申請前に相談しましょう。

許可取得後に欠格要件に該当した場合も注意

欠格要件は、新規申請のときだけ確認すればよいものではありません。

建設業許可を取得した後に、建設業者が一定の欠格要件に該当することとなった場合には、建設業許可の取消しにつながることがあります。

特に、許可を受けている法人の役員等が欠格要件に該当することとなった場合には、会社の建設業許可にも影響する可能性があります。

新しく役員を選任するときなどにも、欠格要件への該当がないか確認しておくことが重要です。

まとめ|刑事処分等がある場合は「内容」と「時期」を確認しよう

建設業許可では、申請者本人だけでなく、法人の役員等や一定の使用人についても欠格要件が問題となる場合があります。

特に注意したいのは、

  • 破産者で復権を得ていない場合
  • 一定の理由による建設業許可の取消しから5年を経過していない場合
  • 拘禁刑以上の刑に処せられ、欠格期間中である場合
  • 一定の法令違反等による罰金刑を受け、欠格期間中である場合
  • 暴力団員または暴力団員でなくなってから5年を経過していない場合
  • 法人の役員等や一定の使用人が欠格要件に該当する場合

などです。

また、現在は成年被後見人・被保佐人であることだけを理由として、一律に欠格要件となる制度ではありません。

執行猶予付きの拘禁刑については、執行猶予期間中は欠格要件に該当しますが、執行猶予の取消しなく猶予期間が満了すれば、その後さらに5年間待つ必要はありません。

過去の行政処分や刑事処分が建設業許可に影響するかどうかは、処分の内容、刑の種類、時期などによって判断が変わります。「昔のことだから大丈夫」と自己判断せず、欠格要件に該当する可能性がある場合には、申請前に内容を確認しておきましょう。

当事務所では、福岡県の建設業許可について、「過去に罰金刑を受けたことがあるけれど申請できる?」「執行猶予が終わったけれど申請できる?」「役員の過去の処分が欠格要件に該当する?」「いつから申請できる?」といったご相談にも対応しております。
初回相談・お見積もりは無料ですので、お気軽にこちらまでお問い合わせください!

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