「建設業許可の“誠実性”って何を確認されるの?」
「昔トラブルがあったら建設業許可は取れない?」
「欠格要件とは何が違う?」
建設業許可を取得するためには、経営体制や営業所技術者、財産的基礎など複数の要件を満たす必要があります。
その一つが、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことという「誠実性」の要件です。
本記事では、建設業許可における誠実性とは何か、不正な行為・不誠実な行為の具体例、誰が対象になるのか、欠格要件との違いについて、2026年10月時点の制度をもとに解説します。
目次
建設業法では、建設業許可を受けるための要件として、許可を受けようとする者が請負契約に関して「不正」または「不誠実」な行為をするおそれが明らかな者でないことを求めています。
建設工事では、契約金額が大きくなったり、工事期間が長期にわたったりすることもあります。
そのため、請負契約の締結や履行について、法律や契約に反する行為をするおそれが明らかな事業者には建設業許可を与えない、という考え方です。
誠実性の要件は、一般建設業・特定建設業のどちらにも共通する許可要件です。
誠実性は、代表者だけを確認するわけではありません。
法人の場合は、次の者などが対象になります。
個人事業主の場合は、次の者などが対象になります。
令第3条に規定する使用人とは、支店長や営業所長など、建設工事の請負契約について一定の権限を有する営業所の代表者などをいいます。
つまり、社長だけ問題がなければよいという要件ではなく、建設業の営業取引において重要な立場にある者も対象になります。
建設業許可における「不正な行為」とは、請負契約の締結または履行に際して法律に違反する行為をいいます。
国土交通省の手引きでは、例えば次のような行為が挙げられています。
単に「過去に何らかのトラブルがあった」というだけで直ちに誠実性を満たさなくなるわけではなく、請負契約に関して不正な行為をするおそれが明らかであるかという観点から判断されます。
「不誠実な行為」とは、工事内容や工期などについて請負契約に違反する行為をいいます。
国土交通省では、例えば次のような事項について契約違反を行うことを不誠実な行為として挙げています。
例えば、契約上約束した内容と異なる工事を意図的に行うなど、請負契約に関して著しく不誠実な対応を行っている場合には、誠実性の要件について問題となる可能性があります。
ただし、工期が一度遅れた、取引先と契約上のトラブルがあった、といった事情だけで直ちに建設業許可が取れなくなるという意味ではありません。
実際には、行為の内容や処分歴などを踏まえて個別に判断されます。
建設業以外の事業で受けた行政処分が、建設業許可の誠実性に影響する場合もあります。
国土交通省の許可事務の取扱いでは、例えば建築士法や宅地建物取引業法等により、不正または不誠実な行為を理由として免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過していない者は、原則として誠実性の基準に適合しないものとして取り扱われます。
そのため、建築士事務所や宅地建物取引業などを行っている事業者については、過去の処分歴の内容によって建設業許可への影響を確認する必要があります。
単に他法令で何らかの注意や指導を受けたことがあるというだけで一律に該当するわけではなく、どのような理由で、どのような処分を受けたのかを確認することが重要です。
建設業許可では、暴力団員等や暴力団員等によって事業活動を支配されている者についても厳しい制限があります。
国土交通省の手引きでは、暴力団の構成員である場合や、暴力団による実質的な経営上の支配を受けている場合なども、誠実性を満たさない例として挙げられています。
一方、現在の建設業法では、暴力団員等に関する事項は「欠格要件」としても明確に定められています。
そのため、建設業許可申請では「誠実性」と「欠格要件」の両方を確認する必要があります。
誠実性と欠格要件は、どちらも建設業許可の審査で確認されますが、同じものではありません。
誠実性は、請負契約に関して不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないかを確認する要件です。
一方、欠格要件では、例えば一定の刑罰を受けてから5年を経過していない場合や、建設業許可を取り消されて一定期間が経過していない場合、暴力団員等に該当する場合など、法律で定められた事項に該当しないことを確認します。
過去に行政処分や刑事処分を受けたことがある場合には、「誠実性の問題なのか」「欠格要件に該当するのか」「どちらにも影響するのか」を分けて確認する必要があります。
過去に何らかのトラブルや処分歴があるからといって、必ず建設業許可を取得できないわけではありません。
確認する必要があるのは、
といった点です。
内容によって判断が異なるため、過去に処分歴等がある場合には、申請前に具体的な事実関係を確認することが重要です。
誠実性は許可申請時だけ意識すればよいものではありません。
建設業許可取得後に、請負契約に関する不正・不誠実な行為や建設業法違反等があった場合には、その内容に応じて指示処分、営業停止、許可取消しなどの監督処分の対象となる可能性があります。
許可取得後も、請負契約の内容を明確にし、法令や契約内容に従って適切に工事を施工することが重要です。
建設業許可の誠実性とは、許可を受けようとする法人・個人や役員等が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことを求める要件です。
不正な行為には詐欺・脅迫・横領・文書偽造等、不誠実な行為には工事内容・工期・不可抗力による損害負担等についての契約違反などが含まれます。
また、建築士法や宅地建物取引業法等によって、不正・不誠実な行為を理由に免許取消処分を受けてから5年を経過していない場合なども、誠実性の要件に影響する可能性があります。
一方、刑罰歴や暴力団員等に関する事項などは、別途「欠格要件」の確認も必要です。
過去に処分歴やトラブルがある場合でも、その内容によって取扱いは異なりますので、事実関係を整理したうえで許可要件に該当するか確認することが重要です。
※本記事は2026年10月時点の建設業法および国土交通省・福岡県の公表資料をもとに作成しています。
行政書士 本田奈美

行政書士(登録番号:第24402289号)
福岡県行政書士会所属/CCUS登録行政書士
建設業許可を中心に、経営事項審査・各種許認可手続きをサポートしています。
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